漢方について

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 4000年以上の歴史ともいわれる東洋医学。その医学が日本へもたらされ、日本の風土と気候などに合わせて日本人の身体に合った医学へと発展したのが漢方です。
 この長い歴史の中で自然とともに生きてきた人々は、病とどう向かい合い、病をどのように防げば良いのかを、数えきれないほどの様々な経験を通して学んできました。
 現在、私達が受けているその恩恵は、4000年以上に亘る歴史の中で、自然界の経験を通して実証されてきた自然科学の賜物とも言えるのです。
 しばしば「心身一如」などと言われますが、心と体を常にひとつのものとして捉える考え方は、東洋医学(漢方)の大きな特徴と言えます。東洋医学において、心と体を切り離して診察をしたり、特定の臓器の障害だけを扱って診断をしたりすることはありません。なぜなら、当然のことですが、心と体は深い関係で結びついているからです。
 漢方の見方で病を捉える時には、心の健康も同時に考慮し、心と体のバランスを考慮しながら治療を進めるのが一般なのです。
 漢方は体だけではなく、心にもやさしい医学体系だと言えます。
 東洋医学は長い人類の歴史で培ってきた素晴らしい医学体系です。自然が我々人間にもたらしたやさしい医学であることに間違いはありません。しかし、これほど素晴らしい東洋医学も万能の医学ではありません。
 人間の歴史は病との戦いの歴史でもありました。この中で東洋医学も様々な形で進歩・発展してきましたが、不得意とする(漢方では対応し切れなかった)分野については、現代西洋医学がそれに替わって発展してきたのだと言えます。
 時に東洋医学は「個人のための医学」だと言われることがあります。東洋医学の診療では、個々人の状態に合わせてそれぞれの治療を施すからです。たとえば、10人の風邪の患者に対して、10人全てに同じ治療が行われるわけではありません。なぜなら、一人ひとり性別や年齢も違えば、体質も異なり、風邪を引いた状況もまた違うため、個々の症状を根本から治療するには、十人十色の見方をする必要があるからです。
 個人個人が自身の病について考え、オーダーメードの治療で改善をはかる場合には、東洋医学の考え方は素晴らしいものです。しかしながら、このやり方では同じような症状や病気を持つ多くの人たちを、短時間で効率良くたくさん治療することは困難です。その点、現代西洋医学はあらゆる患者に共通する目立った症状を、取り敢えず軽くして取り除いたり、抑えたりすることが可能です。何かと作業効率を求められる近代社会においては、多くの人を効率良く治療することが求められますが、西洋医学が東洋医学に勝る点のひとつがここにあります。
 東洋医学は風邪や頭痛、腹痛、月経不順、アトピー性皮膚炎、花粉症など様々な症状や疾患に対応する医学ですが、同時に、一人ひとりの病態をきちんと捉え、個々人に合った治療法を考える医学ですので、時間をかけて根本から心身の改善をはかるべき疾患や症状は、西洋医学に比べると得意とする分野だと言えるでしょう。その一方で、たとえば皮膚の赤い湿疹を手っ取り早く抑えてしまいたい、一時的でも良いからこの痛みを抑えたい、この腫瘍を取り除きたい、というような場合など、こういった分野は東洋医学にとって不得意な分野と言わざるを得ません。
 東洋医学は西洋医学を否定するものではありませんし、西洋医学もまた、東洋医学を否定するものではありません。西洋医学と東洋医学はいずれも異なる独自の医学理論を持って体系化された科学です。西洋の科学と東洋の科学はけして相容れないものではなく、むしろ互いに得意な分野と不得意な分野を補完し合う関係にあります。
 東洋医学に不足している部分を進歩・発展させてきた西洋医学の発想と、自然界の理念に基づき、人類の長い歴史で培われた経験を活かした東洋医学の物の捉え方は、互いに助けあって医療をより良いものにするのです。